青ねぎで高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を活用した実証試験/高温期の品質の向上と収量確保へ
JA伊勢の子会社、(株)あぐりん伊勢は、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を活用した青ねぎの実証試験に取り組んでいる。同JA管内は青ねぎの産地として知られ、県内や関西の市場を中心に年間約500トンの出荷を行っている。しかし、近年の気候変動により、夏場の生育不良や葉先枯れ等が見られ、高温対策が産地全体の課題となっていることから、試験では高温期の品質向上と収量の確保を図ることが目的。
「宙炭」は株式会社TOWINGの開発した高機能バイオ炭。バイオ炭に土壌微生物群を定着させることで、土壌への炭素貯留や土壌改善効果が見込まれる。土壌の多孔質構造の形成促進は保水性や肥沃度の向上につながるため、猛暑や湿害、病害等に強くなり、品質向上や収量の増加が期待できる。
また、昨年度の厳寒期にも同資材を活用した試験を行っており、慣行区に比べて28%収量が増加するなど効果が見られた。
20日には、メーカー担当者立会いのもと、伊勢市にある青ねぎの約20アールのほ場で宙炭を散布した。ほ場を3区画に分けて、慣行区と資材施用割合を変えた区での費用対効果を比較検証する。
今後は6月上旬に定植し、8月頃に収穫を行う。少ない施用量でも同等の効果が得られれば、コスト面でも取り入れやすく、同JAでも普及につなげたい考えだ。
(株)あぐりん伊勢の澤山和人農産部長は「一年で最も収量の確保が難しい夏場の対策としての効果が期待できれば、部会全体に普及していきたい。生産者の所得向上につながれば」と話す。
写真=宙炭の散布を行う同社の社員ら(20日、伊勢市小俣町のほ場で)