新規就農者初収穫迎える/超極早生ミカン「味一号」
JA伊勢管内の御浜町で、2025年産「三重南紀みかん」の出荷が始まった。露地物でトップバッターを切るのは超極早生温州ミカンの「味一号(品種=みえ紀南1号)」で、6日から収穫が始まった。11日に初売りを迎え、9月下旬までに約800トンの出荷を計画している。
「味一号」は、南紀地域の主力品種の極早生「崎久保早生」と「サマーフレッシュ」を交配品種で、露地栽培物の温州ミカンでは全国トップクラスの早さの9月上旬から収穫できる。外皮より先行して果肉が成熟するため、食味もしっかりとのせて出荷できる。
今年産は、夏場の高温と雨不足による生育の遅れが懸念されたが、摘果作業やかん水作業などの生産者による徹底した栽培管理やマルチフィルムを使った水分管理などの成果で、ほぼ平年並みの時期に収穫を迎えた。やや小玉ではあるが、糖度も高く、酸とのバランスのとれた食味に仕上がった。
2024年に同町に移住し、今年初めての収穫を迎える多々納康志さん(54)の園地では、6日早朝から「味一号」を収穫するハサミの音が響く。ミカンを傷つけないよう注意しながら、一度目は手早くヘタから離れた場所を切り、もう一度ヘタに沿って切る「二度切り」で収穫する。同産地では出荷までの工程でミカン同士がぶつかり合っても傷がつかないよう「二度切り」を徹底する。
多々納さんは「晴れが続き、干ばつが心配だったが、かん水や摘果など管理がうまくいき、糖・酸のバランスのとれたミカンに仕上がった。初収穫を迎えて、剪定や摘果など来年に向けた課題も見えた。後悔しないようしっかり取り組みたい」と話す。
同JAの統一選果場では、作業員約30名が2段階の目視による選別と、糖酸及び腐敗果センサーによる選果、箱詰めなどの出荷作業に追われている。中でも外観に問題なく、糖度10度以上、酸1.1以下の基準をクリアしたものは三重ブランド「みえの一番星」として出荷する。
P=味一号を二度切りで収穫する多々納さん(御浜町)