産地の未来考えよう/かんきつ担い手確保でシンポ
三重県御浜町で22日、同町の主要産業であるかんきつ栽培の担い手確保等を目的とした「三重南紀・農業後継者確保のためのキックオフ・シンポジウム」が、同町の中央公民館で開かれた。町内外から農業関係者ら約150名が参加し、産地の未来について考えた。
シンポジウムは御浜町やJA伊勢、町内の柑橘生産者らでつくる実行委員会が主催し、御浜町が共催。農林水産省らが後援する。
「年中みかんのとれる町」として知られる御浜町では、農家人口が最盛期の7割以上減った約800人になり、うち70代以上が半数近くを占めている。今後さらなる減少が危惧されていることから、対応が急がれる。
同町は2022年からホームページや動画による情報発信や、受け入れ態勢の強化を進めたことで、新規就農者が急増した。24年度は45件の問い合わせが寄せられ、名古屋や関西、首都圏からの移住者のほか、地元や近隣住民からの就農希望も増えている。23年度には20名の研修生を同町で受け入れ、今夏までに17名が経営を開始する。JA伊勢の子会社、株式会社オレンジアグリでは2015年の設立から現在までに計17人の研修生を受け入れ、14人が独立。現在は3人が研修中だ。官民一体となり10年後100人の新規就農を目指す。
一方、農地確保の課題も顕在化している。かんきつ栽培は初期投資が低く、新規参入がしやすい反面、樹を一から育て収入に繋がるまで数年がかかる。「農地継承」をスムーズに行えるようになれば、さらに新規就農者を受け入れ、産地の未来へと繋げられると考える。
シンポジウムでは、JA伊勢・営農柑橘グループの鈴木賢職務代理が、地域のかんきつ産業の歴史や現状を説明した。その後の座談会には幅広い世代の生産者が参加し、意見交換を行った。
新規就農を目指す研修生は「人生をかけてミカン栽培に挑戦すると決めたメンバーが多い。農地継承を検討する方がいれば、農地バンクへの登録の検討や声掛けなど協力をお願いしたい」と呼びかけた。
写真=意見交換する中堅農家と新規就農を目指す研修生ら